今回は他店で購入された家具ではなく、2019年に弊店にて購入いただいたテーブルとチェアの修理です。
テーブルは普段特にケアをしていなかったそうで写真一枚目のようにすっかり乾いてしまい水染みや色ムラがあちらこちらに出てきていた。
他、椅子の座面が汚れてしまったため張替(黄色の座面の方を張り替えました)と水色の座面の方は座板が外れてしまったそうで取り付け修理を同時に受けました。が、今回はテーブル修理の話です。
当初はテーブルの再塗装を希望頂いていました。弊店で再塗装を受ける場合には
①古い塗装を剥離洗浄
②サンディング(研磨)して下地調整
③オイル塗布
という手順で作業を行います。
使用し始めてまだ5年。削りをするにはちょっと早い気もするなぁ、と考えました。
ということで、お引取りに伺った際に試しにケア用品を持って行って実演してみることに。
表面の汚れをさっと落としてオイルがどれくらい浸透するか。染みや傷痕がどれくらい残りそうか、ということをその場で簡易的ではありますがお互いの目で確認してみることに。すると、多少の染みは残るかもしれないが乾燥で色が抜けているところはある程度戻りそうでした。
もちろん購入時と同じコンディションというわけにはいかないかもしれません。しかし材質が無垢材ではなく化粧板の仕上げであること、削ることのメリットとデメリットなど諸々とお話しさせていただき、今回は削らずに表面の汚れを落としてオイルを浸透し直していく、可能な範囲で蘇らせる「リフレッシュメンテナンス」を施すことに決まりました。
お客様宅では簡易的な実演でしたので一度引き取らせていただいてからしっかりと工程を進めていき、染み痕なんかも概ね解消できたような。お客様にも満足をいただけました。
最近特に思うのが、どんなものでも一度手を入れてしまうとすっかり元の通りには戻らないんですよね。
今回のテーブルの場合もこの化粧板の厚みには限りがあるわけで、つまりこのテーブルの人生(家具生?)の中において削れる回数には限りがあるわけなんです。
今ここで削るという選択ももちろん出来るが、でももしかするとまた10年後には今よりももっと深刻に削る必要が生じるかもしれない。その時に少しでも厚みを残しておいた方がよりベターなお手入れが出来るのではないか。結果、その家具をより長く使用出来ることにつながるのではないか。
答えは一つではないのでどのような選択をするかは一人一人が判断することであるが、よりベターな選択ができるように、お客様とも一緒に考えることができて良い経験となりました。
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