1960年代頃のデンマーク Søborg Møbelfabrik製のアームチェア
線と線が織り成した一見機械的なシルエット。単調なようですが、原初的な美しさを秘めているようにも感じています。
大胆にくの字に曲げた後ろ脚から背凭れへかけての造形が美しく、プリミティブなだけにはとどまらない、モダンなデザインへと確かに昇華させてくれているようです。背凭れに角度を設けたことでサイズよりも座面を広く感じられ、ゆったりと寛ぐことも出来る座り心地も中々です◎
ビーチ材(ブナ材)はチーク材やローズウッド材などデンマーク家具の他の材と比べると、肌目も淡く、また木目も概して不明瞭なこともあり、材としてはあまり癖のない(というか特筆する機会があまりない)と思っておりましたが、今回部材ごとに様々な杢が現れていて少し見入ってしまいました。(写真最後から3~6枚目)
オーク材をはじめブナ科の材に現れる『虎斑』の紋様も大小様々に(写真最後から4,5,6枚目)
また座面後ろ枠部材には(細かい鳥眼杢のようにも見えるのですが、これは何杢と呼ぶのだろうか)とにかく細かい紋様の揺らめきに、心奪われてしまっております。(写真最後から3枚目。これは実物の方が伝わりそうです。)
今回ファブリックにはデンマーク DAW社のHighlandという柔らかなウール生地をセレクト。背凭れと座面と色を変えて張替を行いました。インテリアのアクセントに楽しんで頂ければ嬉しいです◎
Condition
木部は全体、古い塗装や汚れを洗浄後サンディングを施しオイル塗装にて再仕上を行いました。
全体的には雰囲気を損ねるダメージもなく良い仕上がりですが、細かなダメージも幾つか散見出来ます。
以下詳細
・背面から向かって左上部にもともと欠けを成型補修した痕がございました。色を載せて目立つほどではありませんが、ご確認ください。(写真最後から10枚目)
・(正面から向かって)右後ろ脚前面に染み痕(写真最後から9枚目)
・(正面から向かって)左前脚、上端に傷(割れを補修した痕ではなさそうです。)(写真最後から8枚目)
・座面後ろ枠部材に擦り傷(写真最後から7枚目)
・その他、脚先には幾つか小傷もございます。
背凭れ、シート内部ウレタン材は新規に交換済み。
ファブリックも張替を行っております。
より詳細のコンディションについて、希望される場合にはご案内致します。お気軽にお問い合わせくださいませ。