デンマーク Jorgen Bækmarkによるデザイン。FDBモブラーより製造された「J78」ダイニングチェア
日常に溶け込む普遍の美しさ。永く使用出来る確りとした堅牢な造り。
「丈夫で、美しく、機能的、そして手頃な価格」を掲げて、広く国民のための家具作りを提唱してきたFDBモブラーの理念に沿った作品と感じることが出来ます。
高さを抑えた設計と緩やかな曲面による巾広の背凭れが、ちょうど腰のあたりにフィットするようで、非常に安定感のある座り心地。比較的コンパクトなサイズ感ながらも、僅かに後方へと傾斜した座面の角度もあってか、ダイニングに居ながらゆったりと寛いで過ごすことも出来るほどです。
どこか既視感を覚えるな、と思えばこの椅子の背凭れはFDBモブラー初代責任者 : Børge Mogensenによる「J39」を思い起こさせるよう。また今回6脚の椅子の中で僅か1脚のみ接合部に緩みがあったためこちら解体をしてみると、幅広く設計された側幕板と脚との接合には3本の木ダボで接合が施されており、これも2代目責任者: Poul M.Volther による「J62」と同様の仕様だな、などなど。色々と思い起こすことが出来ました。少々マニアックな話で恐れ入ります。
1958年、FDBモブラー最後のデザイン責任者の任に就いたベクマーク氏。
FDBモブラーや先人達がこれまで培ってきた様々な技術やアイデアを大切に継承し、そしてそれらを更に良いプロダクトへと昇華していく。当たり前のようでいて、きっととても難しいことなんだろうなと感じます。時を超え受け継がれていくデザインの姿。そんなものに今回出会えた気がしました。
Condition
オーク材を使用した木部は全体、古い塗装や汚れを洗浄後、オイルとワックスにて再仕上を行いました。
注視すれば細かな傷も幾つか確認出来ますが、6脚ともに大きく目立ったダメージはなく、ヴィンテージとしてはとても綺麗です。
上述しましたが今回1脚のみ、接合部に緩みが見られたため、そちら解体後圧着修理も済ませております。
シート内部ウレタン材は新規に交換済み。
ファブリックにはDAW社 Royal ウール100%の生地セレクトして張替を行いました。
やや青みがかったような深いグレー色の生地は、角度によっては淡いネイビーにも見えるような。材との相性も良く、上品な雰囲気に仕上がりました。
より詳細のコンディションについてを希望される場合にはご案内致しますのでお問い合わせくださいませ。