1960年代頃のデンマーク Børge Jensen & Sønnerによる3シートソファ
スタンダードなデザイン。かと思いきや、一つ一つの意匠がそれぞれに個性的で
他にはない(ましてや現代ではなかなかお目にかかれないであろう)贅沢且つ造りの良いソファです。
その中でも、今回一番ユニークに感じた意匠はというと、背面で背と座を支えるために長手方向に渡された2本の丸棒。
丸棒を使用することで、組み立ての際に複雑な仕口を必要とせず、後ろ脚や前後の脚を繋ぐ貫部に施された溝に丸棒をただ挿し込んで
側面からボルトで締め付けるだけの簡易な工程でソファの組外しが可能な造りとなっているのですが
ただの丸棒、といっても当時でも貴重であったチーク無垢材を、それぞれ直径およそ30㎜・40㎜と惜しげもなく削り出し加工されたその意匠から
当時のデンマーク家具デザインが世界に誇った栄華、またその隆盛といったものを、推して知ることが出来るような気が致します。
先へかけて細くなっていく脚部のシルエットは、ソファ全体をすっきりと繊細な印象に醸し出し、またその脚部上端をふっくらと丸く盛り上げることで人の手による温かみや陰影のある表情を愉しむことが出来るようです。
翼のように外側に突出した細身のアームレストは、一見フラットなようでいて腕のラインに沿うようにほんの少しだけ、緩やかに反り上げているため、腕を預けた際にもしっかりと安定感のある居心地の良さがあります。
体のラインに沿うように緩やかにカーブした背もたれ。その背もたれの曲線美をより強調させるためだろうか、背もたれをフレームから少し浮かせるために間に木栓を仕込みいれたその意匠。などなど。
細部まで挙げていくと本当にキリがないのですが、何よりもこれら全てが、上質なチーク無垢材のみで構成されているということ。
これだからこの年代の家具を扱うこの仕事は楽しくて仕方がない。細部まで堪能させて頂きました。
Condition
チーク材を使用した木部フレームは一度全て解体し、もともとの塗装や汚れを洗浄後サンディングを施してからオイルとワックスにて再仕上を行っております。
幾つか補修等も行っているのですが、その中で一点。向かって右後ろ脚上端に欠けがあったため、そちら成型補修を施しています。
ストックしている年代物のチーク材を使用して成型補修を施し、使用には問題ありませんが、色味の違いが判別できると思います。
写真にのせていますのでそちらご確認ください。
今回、ファブリックにはデンマーク Danish Art Weaving社のウール100%の淡いブラウン系の生地をセレクトして張替を行いました。
やわらかく、なめらかな肌触りの良い生地のため、季節を問わず快適にご使用いただけると思います。
シートを支えるスプリングも全て新規に交換しておりますので、こちらも安心してご使用いただけると思います。
上述していますが、ソファフレームは側面のボルトを締め付けるだけで簡易に組外しが可能となっています。
搬入経路等も選ばず納入が出来ますので、参考にご検討くださいませ。
より詳細のコンディションについてを希望される場合にはご案内いたしますので直接お問い合わせくださいませ。