デンマーク Christen Findahl によるイージーチェア
はっきりとした製造年は不祥ですが、調べによると1956年頃にデザインされたモデルのようです。
大工として活動していたChristen Findahl(クリステン・フィンダール)は1946年に自身の工房を設立。チェアのフレームだけでなく、当初はキッチンやワードローブなど、多岐に渡る家具製作の依頼を請け負っていたそうです。
1962年、”Mosbøl”というチェアを発表したことで彼は大きな成功を収めることになります。100万脚セット以上を販売したこの椅子は北欧デザインのアイコンとして今なお親しまれ続けるほどになりました。
(この椅子については”Mosbøl” ”Findahl” で検索してみてください。私もこの椅子は何度も見知っていますが、実は名前は今回初めて知りました。デンマーク家具に馴染みのある方なら恐らくほとんどの方が目にしたことのある、あの椅子です。ちゃんと名前があったんですね。。)
と、そんな大きな成功を収める少し前の時代にデザインされたこちらのイージーチェア。
ふっくらと丸みのあるフォルムと木部フレームに施された曲線のシルエットがとても印象的な作品です。
優美な曲線を携えた後ろ脚部の造形や、包みボタンやふっくらとした背凭れによる陰影のある表情など、全体的にはどこかクラシカルな印象を感じますが、アームから背凭れ→後ろ脚へと続く部材にビーチ材のプライウッドを使用し、その積層した表情をデザインのアクセントとしています。
細かなディティールではありますが、クラシカルな装いと現代的なマテリアルとの対比が他にはあまり見ない、興味深いデザインでした。
シート内部には非常に強度の高いセットスプリングが内蔵されており、反発力のあるしっかりとした座り心地。比較的コンパクトなサイズ感ではありますが長時間の使用にも適しています。
今回ファブリックにはDanish Art Weaving社の柔らかなウール100%の生地、Highlandから2色をセレクトして張替を行いました。
”可愛らしい、どこかクラシカルな” 印象も残っていますが、現代の空間にも取り入れやすい爽やかさと、北欧家具らしい心休まる落ち着いた雰囲気をプラスした、なかなか良い仕上がりになったと思います。
Condition
ビーチ材を使用した木部は、もともとかなり濃いダークブラウンで塗装をされていましたが、その塗装面に劣化が著しく、新規に着色をし直しました。
今回爽やかな印象に、また私共が扱っている家具によく見るヴィンテージのチーク材の色味ともマッチするように、1からステインを調合し塗装を施しています。
ステインによる着色後は色抜けや色移りを防ぐためにオイル仕上風のウレタン塗装にて上塗りを施し、最後に蜜蝋ワックスにて仕上げました。
木部には大きく目立ったダメージもなく、良いコンディションに仕上がっています。
シート内部の調整、上述した生地の張替まで行っておりますので、安心してお使い頂けると思います。
より詳細のコンディションについてを希望される場合には個別にご案内もしております。お気軽にご相談くださいませ。