デンマーク Kurt Ostervigによるダイニングチェア、no.26
ふっくらとした、しかし鋭い造形の背凭れ。細く繊細なシルエット。
後ろ脚から前脚へと繋ぐ貫の構造は内側へと忍び込み、まるで存在を隠すかのごとくシートの下の影に紛れる。
とにかく後ろ姿が美しい。
木部はウォルナット。所々に荒々しい黒い縞模様と揺らめくように輝く美しい杢が現れていて、特有の表情を見て愉しむことが出来ます。
銘木としても知られていますが、チーク材やローズウッド材などと比べると材の比重自体が軽く、その細身のフレームとも相まって材のしなやかさ、粘りのある強さをも体感することが出来るようです。
資料が乏しく深くは調べられていないのですが、こちらのモデルでは”後ろ脚同士を繋ぐ貫”の構造を取り入れたモデルが広く普及していたようです。
恐らくこちらのように貫の無いモデルでは、横方向への加重に対する耐性がやや劣るため、改良されていったのかと推測をしています。
(心配していたほどに耐性は低くなさそうですが、繊細な造りのため日常を逸する激しい使用にはあまり適さないかとも感じています。)
また材質もこちらと同じウォルナット材を始め、他にはローズウッド材、ビーチ材、オーク材、
そして前脚の先だけを黒く塗装したタイプとそうでないタイプ、こちらのモデルと同じようにスチールの脚キャップを被せたタイプなど様々なバリエーションを見つけることが出来ました。
(現在この脚キャップは外した状態で展示をしています。)
今回、こちらもスチールの脚キャップを外すと脚先だけがもともと黒く塗装されていたのですが、その脚先は切り込み線が入っているだけで継いでいるわけではなかったため、黒い塗装は落として着色はせずにオイル塗装だけで仕上げを行いました。
スチールの脚キャップはお好みに合わせてお渡ししますので、お使い頂ければと思います。
現在展示は2脚だけですがメンテナンス前の状態であと4脚、計6脚ご紹介することが出来ます。
複数脚ご入用の場合にはお気軽にお声がけ下さいませ。
Condition
ウォルナット材を使用した木部は全体、古い塗装や汚れを洗浄後サンディングを施しオイル塗装にて再仕上を行いました。小さな欠けを補修した痕も幾つかございますが、雰囲気を損ねるほどのダメージはなく良いコンディションに仕上がっています。
シート内部ウレタン材は新規に交換済み。
ファブリックは新しく替えられたばかりだったようでとても状態が良く、今回そちらをそのまま利用して張り直しました。
新しく生地の張替を希望される場合には生地代金のご負担だけで対応しますので、ご希望ございましたらお気軽にご相談くださいませ。