
















デンマーク製 オーク材を使用したアームチェア
ボーエモーエンセンのスタイルを感じますが見たことのないデザインのため仕入れてみました。
実物を見てみて、部材の厚みや直線と曲線とのバランス、細部のデザインなど全てが大変造りよく、もしかすると本当にモーエンセンなりフレデリシアの製造かもしれません。
以前に扱ったことのあるモーエンセンのチェアBM73とも類似する点が幾つかあったため調べてみたところ海外のサイトなどではこちらと同じ椅子をBM73として紹介、しかもフレデリシアの製品タグが背面に付いた写真を掲載しているものもあったりして。。この椅子もシールが貼ってあったような痕はありましたがシール自体は紛失していました。真偽は定かではないため弊店ではアノニマス作品として一先ずご紹介していきたいと思います。
上述したように直線と曲線とのバランスから部材一つ一つの厚みやディティールに凝った、端正でシルエットの美しいチェアです。おそらく一番視線の集まるであろうアームの先端に一つずつ、組手の意匠を添えておくことで手仕事の温かみを感じることが出来る。簡潔ながらも作者の意思をしっかりと想像することの出来るすばらしいデザインだと思います。
また今回私が一番感動したのがシートを構成する座枠の設計。比較対象として先に挙げたBM73チェアは座枠4辺全てが平面なのですが、こちらの椅子は枠前方は直線なのに対して後方は曲面を持たせている。そしてそのために両サイドの座枠は後方の曲面に合わせて捻じれさせるというかなり複雑な設計でした(裸の状態の座枠写真をご覧ください)
これ座枠を組んでからプレスしているのでしょうか?と製造工程も気になりますが、いずれにしろ作者のこだわりと高い製造技術を窺い知ることが出来ると思います。
そして、この座枠後方に曲面を持たせることでやはりお尻の当たりがとても良い。深く腰を掛けた際は特に”当たる”という表現よりも”添う”とか”馴染む”くらいの表現の方がしっくりくるかもしれない。安楽性能はとても意識していたのだろうと思う。
テーブルやデスクにも合わせられる大きすぎず低すぎないサイズ感だが、ソファ代わりに使用しても十分寛げる。
この辺りも都市部の住環境をターゲットにしていたモーエンセンが得意としていたスケール設計を想像しています。
シート寸法(内寸):幅525 奥行き450 ㎜
Condition
オーク材を使用した木部フレームは全体古い塗装や汚れを洗浄後サンディングを施してからオイル塗装にて再仕上を行いました。
目立ったダメージもなくとても良いコンディションに仕上がっています。
シート内部クッション材も全て新規に交換済み。
ファブリックにはデンマーク Danish Art Weaving のUrd stripe 淡いグリーンの生地を採用して張替を済ませています。
濃淡のあるグリーンを織り交ぜた生地は立体感と深みを感じる上質な仕上がりです。