1960年代頃のデンマーク製アームチェア
オーク材から成る木部フレームは脚先にだけチーク材をあしらっています。この様な仕様は汚れが目立ちやすい脚先を保護する目的など諸説言われますが、現代の特に日本の住空間においては意匠の一つとして捉えて良いかと思います。濃い色のチーク材に目線が誘導されることで、その脚線美がより引き立つようです。
丸く削り出された脚部。後ろ脚から延びる背凭れの先端には丁寧に曲面が施されており、繊細で優しいこの椅子の印象がはっきりと見えてきます。細く見えるアームも腕を預ける位置にはしっかりと巾を持たせて、要所にくびれや曲線のデザインを取り入れることで美しいシルエットと安定感のある居心地とが両立されています。
ゆったりとした座面スペースと背凭れの曲面が身体に丁度良くフィットして快適な座り心地を体感頂けます。
既視感を覚えるデザインですが、作者、メーカー共に不祥。とても良い椅子です。
Condition
木部フレームは古い塗装や汚れを洗浄後丁寧にサンディングを施し、オイルと蜜蝋ワックスを使用して再塗装仕上げを行いました。
雰囲気を損ねるようなダメージはなくとても良いコンディションに仕上がっています。
一点、写真では判りにくいですが右手アームの先に欠け、というか角が落ちている箇所がございます。パッと見ても触っても気にならないレベルですが、気にされる場合には実物をご覧頂いた方が良いと思います。
接合部に緩みのあった箇所は一度解体して組み直しています。ぐらつきなども無く安心してお使い頂けます。
シート内部のクッション材には自然素材の良質な素材が使用されていた為、ベルトの緩みだけを解消して使用できる素材はそのまま使用しています。背凭れのクッション材はウレタンクッションと綿に交換し直しました。
張地は今ウルトラスエードHP / N138 DARK GREGEにて張替ました。良い色だったのでまた使いたいと思います。