スウェーデン製 シェーカースタイルのチェア
パイン材を使用した少し大らかな雰囲気とシェーカー様式によるプリミティブな装いがとてもマッチしています。
一見すると工業製品というよりかは民芸的な風を感じますが、存外工業製品らしい造りを随所に備えていてなかなか面白い作品です。
例えば、背板は曲げ木の技法を採用。さらに2脚あるうちの片方の椅子の1本の脚にだけ、無垢材ではなく集成材が使用されています。(写真最後から2枚目、小口部分に木目の境目が見えると思います。)
きっと、ある程度の量の椅子を作るために木取りをしていく段階で、端材が発生することもあるのでしょう。
その様な際に材を無駄にしないためにも、半端な材同士を圧着成型した集成材を用意して家具の材料として使用していたのではないだろうか。というのは私の勝手な想像でしかありませんが、、
とすれば、限られた資源を無駄にせず効率的に使用していく--- というその姿勢は、現代でも環境分野で世界をリードする北欧社会のマインドをこの当時から体現していたように思えて、些事のようでもついつい注目をしてしまいました。
椅子自体、コンパクトなサイズですがお尻のおさまりが丁度良く結構心地良いです。オリジナルのラッシュコードを編み直した座り心地は新規でペーパーコードを編んだ椅子に比べると弾力を感じます。
軽く機動性にも優れているこの椅子は、ダイニングに合わせてももちろん良く、壁際にそっと据えてあるだけでも絵になる、無銘ながらも長く愛着の持てる椅子だと思います。
Condition
パイン材を使用した木部は、接合部に緩みがあったため一度解体してから圧着修理を施しました。
古い塗装や汚れは剥離洗浄後サンディング、オイル塗装にて再仕上をおこなっています。
座面のラッシュコード(イ草のような植物から成るコード)は、もとは破れなども無く状態はとても良かったのですが、上記した木部メンテナンスを行うために一度解きました。一度解いたコードを編み直すことは中々骨が折れるのですが(色ムラが残るしコードも足りなくなるし)それでも座面を真新しくしてしまうと雰囲気が大きく変わってしまうと思い、解いたコードを可能な限りクリーニングしてから再利用。編み直すことに致しました。案の定少し足りなくなった分はストックしていたラッシュコードの余りを利用して間に合わせました。
編み直したコードは過去に露出していた箇所/隠れていた箇所とで色味に大きな差がございます。そのため些か斑な色味で仕上がっていますが、この手直しした痕も家具の個性として、また歴史の一部として受け止めて頂けましたら幸いです。