『樹木たちの知られざる生活(ペーター・ヴォールレーベン著)』という本の中で、森の木々たちは菌根菌を介した地中ネットワークを形成してつながっており、森林はそれ自体が一つの大きなコミュニティである、という考え方と出会った。自然界における生物たちはそれぞれを取り巻くエコシステムとの相互作用で結ばれており、目には見えない菌や微生物たちのはたらき、その重要性について関心を寄せるきっかけとなった。
人類がその存在を確認している生物種はおよそ164万種ほどで、それは地球上に生息・生育している種のごく一部に過ぎない。そしてその生物種は年4万種のペースで絶滅しつつあると推測されて、現在進行しているこの生物多様性の喪失速度は生命史における平均的な種の絶滅率の1000倍にも達すると推測されている。そして周知の通りそれらは主に人間の活動に起因すると言われる。左に挙げた数字は少し古い情報かもしれません。
ローズウッドという木材も現在ワシントン条約によって規制がなされ、いわゆるレッドリスト、絶滅の恐れのある野生動植物種に部類される。今後手に入れることが難しいというその希少性の高さゆえ、そしてもちろん材としての美しさもあって市場における価格の高騰にも頷けるのであるが、しかし絶滅危惧種に部類され希少となっていることがさもセールスポイントであるかのように謳っていた過去の自分を思い出して、問題の本質から外れているなと今更ながらに反省。一つの種が失われるということは果たして何を意味するのだろうか。生物、特に菌や微生物の中には特定の生物種にのみ依存して生きていく種も数多く存在するのだそうだ。一つの種が失われたその先にどれほどの影響が拡がっていくのか、計り知れない。
ローズウッドという木材は、地域によっては保護活動もかなり進んでいるという話もあるが、今なお絶滅危惧種に指定されている。私たち人類の活動によって一つの種が失われるリスクに晒されているというその事実に対して、今目の前にある材の希少性についてを考えることも確かに大切なことだと思う。しかしそれ以上に、その背後で影響を受ける生物種たちがあることに想いを巡らせること、目を向けていくことこそ重要なことであるだろう。この貴重な材を伝える者の一人として、努力してきたい。
デンマーク Johannes Sorthによるデザインのシェルフ。刻印から1964年の製造と知ることが出来る。
普遍的でスタンダードなデザインであるが、ローズウッドの妖艶なまでに美しい表情にしびれます。
3枚付属する棚板は約2.5センチ間隔で5段階ずつ高さ調整が可能。
びっしりと収納の用途としても良いですし、飾り棚としてディスプレイを楽しんでも良さそうです。
Condition
木部は古い塗装や汚れを洗浄後サンディングを施してからオイル塗装にて再仕上を済ませています。
棚板の一部にへこみや欠けを修理した補修痕も残りますが全体的に目立つダメージはなくとても綺麗です。
1点、背板の裏側の合板が剥がれている箇所がございます。壁に接した配置を前提としていますため、細かな部分は影響がないと判断してそのまま見過ごしています。背面を見せるレイアウトをするなど、現状では支障がある場合には可能な限り対応しますのでご相談ください。