

1960年代頃のデンマーク Orte Mobelfabrik製チェア
ハーフアームを取り入れた実用的な設計と個性的で美しいシルエットが目を引きます。
セットで揃えても壮観ですが今回は1脚からご案内しています。
座面横から弧を描くように立ち上がるアーム形状は大胆かつ優美なシルエットを描いて背凭れへと連なっていく。3次元的な曲線の重なりは見た目のインパクトが強く個性を打ち出すための演出かと思いきや、座ってみればなるほど人体と触れ合う椅子の形状に曲線は必然と思い知る。姿勢を正して椅子に深く腰を掛けた時。姿勢を崩し浅く腰を掛けて背凭れに寄りかかった時。読書や作業のためにアームに肘を軽く添えている時。休息のために腕全体を下ろしてアームに全てを任せた時。そんな様々な姿勢を椅子に預けるためには、平面や直線では画一的で限定的な姿勢しか任せることは出来ないのではないだろうか。しかし曲線や曲面ではその都度、身体との当りの良いところを互いに探りながら姿勢を作っていくことが出来るようである。椅子に全てを委ねるのではなく、椅子の個性を探りながら身体の側から椅子に寄り添っていく、みたいな座り方。この椅子と向き合ってみて「人と家具とが対話を重ねながら関係を築いていく」という付き合い方に気が付いた。興味深い。
Condition
アフロモシア材を使用した木部フレーム は古い塗装や汚れを洗浄後サンディングを施してからオイル塗装にて再仕上を行いました。大きく目立つダメージは無く良いコンディションです。
接合部に緩みのあった箇所は全て解体して組み直し修理まで済ませています。
シート内部ウレタンクッションは新規に交換済み。ファブリックにはデンマーク Kjellerup Vaeveri社より「Blans」ウールの質感をしっかりと楽しめる上質な生地をセレクトして張替ました。









