
1960年代頃のデンマーク製チェア
全部で4脚ございますが一先ず2脚だけ、メンテナンスを済ませて現在店頭に並んでいます。
伝統的なウィンザースタイルのチェアを、よりミニマルかつ合理的にデザインされた美しいチェア
恐らく最大の特徴は脚が全てねじ込み式で取り外しが可能となっている点であるのだが、この構造を掘り下げてみると結構面白い。
脚を取り外せる一番のメリットはパッケージを小さくすることで輸送コストが抑えられることであるのだろうが、しかしこのねじ込み式の脚を採用したことで脚同士を繋ぐ貫という部材に強度を頼ることが出来ない。その強度を解決していくために様々にデザインのディティールが拡がっていく。
キーワードとしては
①実は4本の脚は全て同じ長さ、同じ規格で製造されていること
②座り心地や強度を考えて脚は八の字に開き、座板は後方へと僅かに傾斜していること
③座り心地をよくするために座板は僅かな曲面で仕上げられていること
④強度、材料費、製造コストを考慮して座板は3㎜厚のブナ板を8枚重ねた24㎜厚の合板で製作されていること(素材自体はブナの無垢)
などが挙げられる。そしてこれら複数あるキーワードは、結局一つの課題から派生していて、一つの意匠が解決をしていて、最終的に全体の構造へと回帰していく、みたいな。きちんと理論を伴ったデザインプロセスが想像できて、興味深い。
全てを記さず申し訳ないが、続きはぜひ実物を前にして想像を膨らませていただければと思う。
Condition
ビーチ材を使用した木部。もともと状態がよく、古い塗装は剥がさずに表面に残る汚れだけ落としてからオイルフィニッシュにてリフレッシュメンテナンスを施しました。小傷程度は散見できますが、雰囲気を損ねるダメージや使用に伴うくたびれた印象もなく良いコンディションです。
木部接合部の緩みなども確認していますので、ぐらつきの心配もなく安心してご使用いただけます。