1960年代頃のデンマーク製スチールレッグチェア

木では表現できない、スチールパイプだからこそ実現できる細身のシルエットに魅力を感じます。

スタンダードなデザインですが前脚と後ろ脚を繋ぐ貫を斜めに走らせた意匠がなかなかユニークです。よく見るとこの貫は背凭れからくの字に曲がってそのまま連なっており、背凭れの収まりと椅子の強度を同時に叶えるデザインとして機能しています。

上記したフレーム構造も特徴的ですが、それよりもこの椅子は木部のデザインや素材感が優れていて目を惹きます。

しっかりと厚みを持たせたシートや背凭れは身体のラインに合わせた曲面で構成することでゆったりとした座り心地が実現されています。もちろん板座のためお尻は固いですが、身体に抵抗する固さではなく安定して座れる気持ちの良さを感じられました。背凭れやシートの淵部はふっくらとした丸みを持たせて仕上げられていて、手に触れて優しい製作者の想いが伝わってくるようです。